story あの会社「ならでは」のストーリー

暮らしの「ちょっとしたこと」を変えることが、世界を変えていくことにつながる。

株式会社カインズ
1989年3月設立

〈経営理念〉

“For the Customers”

●チェーンストア イズ モア ディスカウントビジネスに徹する

●地域格差を解消し国民の豊かな生活づくりに貢献する

●人をつくって商で文化を創造する

事業内容

社名の由来にもなっている“Kindness”にこだわり、暮らしの中のささいなことをより良くする製品やサービスを生み出し続ける株式会社カインズ。従来のホームセンターの枠にとどまることなく、新たなスタイル、価値観を提供することに挑戦しています。「世界を、日常から変える。」や「くらしに、ららら。」のメッセージに込められているように、暮らしに根ざした取り組み、毎日をより良く変えていこうとするカインズの志を土屋裕雅社長にお聞きしました。カインズらしさはどのように生まれ、進化しているのか。全4回でお届けします。
取材:橋本和人 取材・文:吉岡崇

とにかく“Kindness”であるか、どうか。

― ―名和先生が提唱されているJ-CSVは、企業が社会に持続的に価値を提供するために企業の経済価値を高めていく。そこには企業の志が重要だとおっしゃっています。CAINZの志、理念、そこにかける想いについてお聞かせください。

土屋社長:元々「いせや」という会社からいろんな会社がスピンアウトしてこの企業体ができあがっています。いせやからスピンアウトした「ベイシア」、作業着の専門店として「ワークマン」、DIYというか当時でいうと食品以外の雑貨がスピンアウトしたのが「カインズ」なんです。いろいろな企業がいせやから分かれてつくられたのが「ベイシアグループ」です。いせやの創業から60年経ちます。ちょうど還暦の年になりますね。

暮らしを幅広く支えるベイシアグループ。

暮らしを幅広く支えるベイシアグループ。

いせやの時から理念として “For the Customers” お客様のために、という言葉があります。カインズの由来は“Kindness”から来ているんですが、親切・親切な人・お客さんに対して親切な商品・親切な接客。そういう企業でありたいという思いが、この「CAINZ」の中に込められているんですね。

英語で書くと“Kind”ですが、“K”が“C”になっています。これが“For the Customers”の変形である“Customers first”で、“K”を“C”にしてお客さんを先に考えようということで、CAINZの名前ができあがっています。他にも“Kindness”は“K”の後“I”なんですけども“AI”にして、真心をこめて「愛」があるとかCAINZという言葉の中にいろいろな意味合いがあるんです。その中で大事なのは、「親切心を持った企業になろう、お客さまに対して親切な企業になろう」と。これが非常に大事だと思っています。

最近気づいたことなんですが、この話をアメリカの「ザ・ホーム・デポ」の人たちに話しても、それとは別の日本に来た企業の人たちに話しても、カインズの店の感じと“Kindness”がすごくピンとくるみたいで、それが海外のモデルの中にないと言うんです。僕らからするとそこまでの違いがあるのかなと思うんですが、彼らからすると「日本人のおもてなしみたいなものをカインズから感じるんだ」と。“Kindness”でありたいと思っているだけじゃなくて、具体的に“Kindness”と思ってもらえるようにするためにどうしたらいいか、ということについてすごく考えて今後の施策も行おうと思っています。

― ―海外の方は“Kindness”を、接客に対して感じるということでしょうか。それとも商品、アイデアも含めてでしょうか。

土屋社長:彼らに言わせると「商品、サービス、接しているわれわれのキャラクターを含めてトータルで」なのだと思います。ここ十数年の当社の強みと言ったら商品開発なんです。以前はそうではなかったですが、SPA化に舵を切ってから商品開発を得意としている企業です。同じような商品を安くつくるというのも悪くないと思うんですが、やっぱり「意図を持って商品開発をしよう」と。「暮らしが楽しくなるとか楽になるもの、生活改善につながるようなものをつくろう」と。そのこと自体も“Kindness”精神が商品づくりにもつながっていると思います。それは、説明すればするほど、そういう理解をしてもらえるんですね。

cainz

土屋裕雅 (つちや ひろまさ)

株式会社カインズ 代表取締役社長