#J-CSV企業の考察01  2018.10/05

  • 面倒くさい?と聞くと
    いや、面白いじゃないですか。
    という人間がいて。
    それが続いているんだと
    思います。

    株式会社カチタス

カチタス ロゴ

株式会社カチタスは、リフォーム済み中古住宅を人口5万から30万人規模の地方都市中心に販売している不動産会社です。新築でもない、ただの中古でもない、賃貸でもない、リフォーム済み中古住宅という住まい選びに新しい第4の選択肢を提供し、賃貸住宅に住む世帯年収500万円以下の世帯に持ち家の取得を実現しています。そのままでは流通しない空き家を再生させ、多くの方に安心・清潔・快適な持ち家を平均売価1300万円という手に入れやすい価格で提供することで、安定した暮らしと地域活性化という社会価値を生み出しています。1軒1軒違うリフォームは手間がかかり、ビジネスモデルとしては一見難しく感じられるこの事業をどうやって成立させているのでしょうか?執行役員マーケティング室大江治利室長にお話をお聞きし、J-naradewa編集部が“カチタスならでは”の強みについてまとめました。
(文・橋本和人)

リフォーム・リノベーションで価値+

今持っているアセットを将来どう活性化させていくか?私たちは将来どうなりたいのか?時々立ち止まり試行錯誤してたどり着いたビジネスモデル。

カチタスのヒストリーは1978年「株式会社やすらぎ」石材業としてスタートします。そして1988年宅地建物取引業の免許を取得し、不動産売買・代理業を開始。ここで石材業から不動産業へとダイナミックな方向転換がありました。そして裁判所による不動産競売からの仕入れを中心に中古住宅を扱うようになり、「裁判所の近くに店を出す」という方針で全国に拡大。1998年には「中古住宅をリフォームして販売」というビジネスモデルを業界に先駆けて確立しました。

「ずっと社名はやすらぎのままだった。正直従業員はすごく違和感がありました。名が体を表していない。だから社名を変えようと。で、その時に、我々がやってることって何だったっけ?と。そもそものこの事業の提供価値は何で、今従業員は何を思ってこの仕事をしているんだろうと、だいぶ議論しました。いくつか案は出たんですけど、家に価値を足すのが我々の事業の内容であり、理念だよね、ということで「カチタス」いいね、となりました」(大江室長)

2013年に「株式会社カチタス」に社名変更。2016年には中古住宅の累計販売数が4万戸を突破し、現在に至ります。その道のりは試行錯誤の連続だったそうです。石材業から不動産業、裁判所の競売物件を扱い全国に拡大、そして中古住宅をリフォームして販売というビジネスモデルにたどり着き、社名を家に価値を足すカチタスに変更―、節目節目で立ち止まり、その時あったアセットを将来どう活性化させていくのか?私たちは将来どうなりたいのか?考えてたどり着いた結果、今があると、大江室長は語ります。

未来への扉を「家に価値タス」ことを通じて地域とお客様に。

カチタスの経営理念は“未来への扉を「家に価値タス」ことを通じて地域とお客様に。”です。そこにかける想いは大きく3つ。一つ目は売却する方に、これまで処分できずに重荷になっていた空き家(多くは相続して親から引き継いだ実家)を手放して、気持ちよく未来に進んでほしいということ。二つ目は購入する方に、これまで住んでいた賃貸住宅の家賃と同等またはそれより低い月々の支払いで、きれいな家を所有してもらい、経済的にも安定してこれからの生活を歩んでほしいということ。そして三つ目は地域に、そこにある家の敷地・建物がきれいになり、新しい住み手を得て、人的・経済的に活性化してほしいということ。その想いはそのまま社会価値創出につながっています。

「空き家問題を解決できる。それもビジネス的に合理性を持ちながら。数少ない立ち位置におかげさまでいるなと感じています。」

カチタスの社会的な存在意義は非常にインパクトが大きく、カチタスに期待する社会の声も大きい。その声に対してある種の使命として事業を捉え、取り組まれている一方、しかし「社会貢献ありきではない」と、あえてしっかり線を引いています。カチタスがビジネスを拡大することが、結果的に社会の役に立つ、人々の役に立つ。しかしその拡大していく判断は需要があるかないか、もしくは需要が生み出せるかどうか。住みたい人がいるか、創れるか。そこにはJ-CSVの論点でもある社会価値と経済価値の葛藤もうかがえました。

未だ多く存在する潜在顧客 増加し続ける空き家。

カチタスの主要顧客は地方在住の年収200~500万円、かつ持家志向のある借家世帯で、約138万世帯も存在する計算になります。一方、仕入れ対象である空き家は2013年時点で820万戸と豊富に存在し、今後も急激な増加が想定されています。特に地方で空き家が発生する主要因は相続で、大半が築年数の古いものになるためリスクが高く、そのままでは流通しづらいものとなり、リフォーム再販というビジネスモデルが活きてきます。このようにビジネスとしてもポテンシャルの高い市場において、独壇場のカチタス。他社の追随を許さない強みは一体どこにあるのでしょうか。

カチタス

株式会社カチタス

株式会社カチタスは、地方の中古住宅を買い取り、リフォームし販売するリフォーム済み中古住宅販売最大手。住まい選びに「リフォーム済み中古住宅」という新しい第4の選択肢を創造。人口減少地域への良質な住宅供給、地域の空き家問題解消など、そのユニークな提供価値に注目が集まっている。
http://katitas.jp/

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